今さら聞けないIoTの仕組みと構成の基本

IoTが世の中で騒がれ始めて10年近くが立ちました。今ではビジネスの世界にも市民生活の中にも様々な形でIoTが取り込まれていると思います。例えばAmazon AlexaやGoogle Homeのようなスマートスピーカーなんかは身近な例ですね。

そんな身近な例になったIoTですが、その仕組みや基本的な構成に関して皆様はご存じでしょうか。

スマートスピーカーを買ってきて説明書の通り繋げてみたけど、どうゆう仕組みかはよくわからない。。。

スマート家電を導入したいけど、そもそも何かよくわからない。。。

なんてことはありませんか?

恥ずかしながらジェイゾーも、IoTという言葉の意味自体は認識しつつもそういった部分についてきちんと理解できていませんでした。

そんな中コンサル業務の一環としてIoT関連サービスの事例調査を行う機会が最近ございまして、その過程でIoTの基本的な構成や仕組みに関して学ぶことが出来たので記事にまとめてみました。

この記事の読者としては、かつてのジェイゾーのようなIoTという言葉は知っているけど基本的なことの理解にも自信がない素人・初心者の方を想定しており、そういった方がなんとなくの全体の構成や仕組みを掴めるような内容にしようと心がけております。

そのような内容にもしご興味がございましたら、ぜひこのまま読み進めてみてください!

IoTシステムの構成要素

サマリ

  • IoTシステムはIoTデバイス・IoTゲートウェイ・クラウドの3つで構成される
  • IoTデバイスとは現実世界にあるモノであり、現実世界からのデータ取得(インプット)と現実世界での動作(アウトプット)を行う
  • IoTゲートウェイとは現実世界とインターネット世界をつなぐ仲介役であり、IoTデバイスやクラウドから受け取ったデータの翻訳と集約を行う
  • クラウドとはインターネット世界に存在する頭脳であり、現実世界から受け取ったデータを処理することで様々なサービスを提供する

IoTシステムはIoTデバイス・IoTゲートウェイ・クラウドの3つで構成される

「IoT (Internet of Things)」とは日本語では「モノのインターネット」と訳される通り、スマホ・各種センサー・家電などの現実世界の様々なモノをインターネットに接続して相互に連携させることで、個別にモノを扱うよりも高度な機能やサービスを実現させる仕組みのことです。

結論から言うと、このIoTシステムは以下の3つで構成されています。

  • IoTデバイス:現実世界にあるモノ
  • IoTゲートウェイ:現実世界とインターネット世界をつなぐ仲介役
  • クラウド:インターネット世界に存在するサービス提供のための頭脳

ここから先はこの3つの構成要素に関してさらに簡単に解説していきます。

IoTデバイスとは現実世界にあるモノであり、現実世界からのデータ取得(インプット)と現実世界での動作(アウトプット)を行う

IoTデバイスとは現実世界にありインターネットに接続されるモノのことです。

IoTシステムにおけるIoTデバイスの役割は大きく分けて以下の二つです。

  • インプット:現実世界からデータを取得する
  • アウトプット:現実世界で実際に動作を行う

IoTデバイスはその担える役割に応じて基本的にはセンサー・端末・アクチュエーターに大別されるとジェイゾーは考えています。

データの取得(インプット)のみを行うセンサー

センサーは主にデータの取得のみを行います。音声センサー、温度センサー、湿度センサー、カメラ、電力メーターといったものがセンサーの例になります。

データ・命令の取得(インプット)と実際の動作(アウトプット)両方を行う端末

端末はWeb閲覧履歴 等のデータや

  • センサー:データの取得(インプット)のみを行う
    例)音声センサー、温度センサー、湿度センサー、カメラ、電力メーター 等
  • 端末:データ・命令の取得(インプット)と実際の動作(アウトプット)両方を行う
    例)スマートフォン、パソコン、タブレット
    • インプット:Web閲覧履歴 等のデータや各種アクチュエーターへの命令(洗濯機を回す、電気を点ける 等)
    • アウトプット:解析結果やグラフデータの表示等
  • アクチュエーター:実際の動作(アウトプット)のみを行う
    例)洗濯機、テレビ等の家電、電気のオンオフを行うスイッチボット、産業用ロボットアーム 等

しかし、昨今では例えばスピーカーや冷蔵庫といった家電に各種センサーを取り付けてデータの取得も可能にしたりと従来のアクチュエーターにセンサーを取り付けることでインプット・アウトプット両方を行っている例も多く、純粋な動作のみのアクチュエーターというのは少なくなってきている傾向にあります。

このようなインプット・アウトプット両方を行えるアクチュエーターはスマート○○と呼ばれることが多いので、スマート化とは「従来のアクチュエーターにセンサーを取り付けることでインプット・アウトプット両方出来るようにすること」と定義できるかもしれません。

IoTゲートウェイとは現実世界とインターネット世界をつなぐ仲介役であり、IoTデバイスやクラウドから受け取ったデータの翻訳と集約を行う

IoTデバイスから集められた現実世界のデータは、そのままではインターネット世界に送ることが出来なかったり、非効率的であったりする場合があります。そういった場合に必要となるのがIoTゲートウェイです。

IoTゲートウェイの役割は大きく分けて以下の2つになります

役割1:翻訳  インターネットに直接接続できないIoTデバイスをサポート

世の中には様々なIoT対応の機器・家電が出ていますが、そのすべてが直接Wifiに接続出来たり有線でインターネットに接続出来たりするわけではありません。このような場合にIoTゲートウェイはその仲立ちをしてくれます。

直接wifiに繋ぐことの出来ないデバイスは、例えばBluetooth等の別の接続方法(通信規格・プロトコルといいます)でIoTゲートウェイに接続します。そしてIoTゲートウェイがデバイスの代わりにwifiルータに接続してあげることで、インターネットに接続できるのです。

これはいわば日本語でしか話せない人の話を英語に翻訳することで世界中の人々に理解できるようにしていることと似ています。

IoTゲートウェイは、Bluetooth等の別の通信規格しか扱えない機器のデータをインターネットの形式に翻訳することでインターネット世界につなげてくれているのです。

ちなみにIoTゲートウェイはBluetoothだけでなく様々なデバイス側の通信規格に対応しているのが普通です。そうでないと、デバイスの通信規格の種類だけIoTゲートウェイが必要となってしまいますからね。

ですので、通訳さんの例で言うと日本語と英語以外にも何ヶ国語も喋れるマルチリンガルといったイメージの方が正しいです。

役割2:集約 デバイスから送られてきたデータから必要な物のみを抽出する

データの送受信にはその量に比例してコストがかかりますし、多すぎる場合にはシステムの安定性・応答性が悪くなります。スマホの通信料や重い動画ファイル等をダウンロードするときに動きが固まるのをイメージしてください。

一方でIoTデバイスから送られてくるデータは、場合によってはその全てが必要でない場合があります。例えば温度センサーが0.01秒ごとにデータを送信しているが、AIによる各種処理には10秒に1回のデータがあれば良いといった場合には実際に必要な量の1000倍もの量がデバイスから送られてくることになります。

このような場合にそのままインターネットに流しては無駄が大きいので、IoTゲートウェイの方でデータの選別や集約が行われる場合があります。より高度な集約(例えば単なるサンプリング時間の変更ではなく、AIによって重要度を判断して取捨選別する 等)を行う場合には、エッジデバイスとか呼ばれたりもします。

クラウドとはインターネット世界に存在する頭脳であり、現実世界から受け取ったデータを処理することで様々なサービスを提供する

IoTでイメージされるような家電・機械のAI音声制御 等の高度な処理をスピーディーに行うためには強力なコンピューターが必要です。しかし、当然洗濯機や冷蔵庫、スマートスピーカー等にそんな強力なコンピューターを搭載することはできませんし、出来たとしてもとてつもなくコストがかかります。

そこでインターネット経由でこれらのデバイスからデータを受け取り、代わりに処理をしてくれるいわば頭脳がクラウドなのです。

クラウド側で行われるデータの処理は大きく分けると以下の三つです。

  • 可視化:受け取ったデータを見やすいグラフや表等の形に加工します
  • 分析:送られてきたデータに対してAI 等を用いて複雑な処理を行うことで様々なサービスを提供します(音声処理、画像解析、故障診断 等)
  • 保管:送られてきたデータをデータベースに保存し、後でも利用できるようにします

まとめ:IoTとは、インターネットを介したデータ収集とデータ処理の分業

ここまでIoTの構成要素と仕組みについて説明してきました。

これを踏まえて結局IoTって何なの?というのを改めて考えると結局、インターネット介したデータ収集(と実際の動作)とデータ処理の分業だと思いました。

インターネットが普及する以前はこのデータ収集と処理を1つのデバイスで行う必要があったため、スペースだったりコストの問題で大した処理は行えず便利な機能を持たせることも出来ませんでした。

しかし、インターネットの普及によりデータ収集と処理が分業できるようになった、
さらに言えば収集・処理したデータを複数のデバイスで共有もできるようになった、
その結果個別の機器のコストやスペースは抑えたまま力を合わせて様々な複雑なサービスを提供できるようになった、それがIoTなんです。

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